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食物アレルギー

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、食べ物に含まれるたんぱく質などを体が「異物」と認識し、過剰な免疫反応を起こすことで、体にさまざまな症状が出る病気です。
症状は皮膚だけでなく、口やのど、消化器、呼吸器、循環器など複数の臓器にあらわれることがあり、重症の場合は
アナフィラキシーを起こすこともあります。 

食物アレルギーには、食べて比較的早く症状が出る即時型がよく知られていますが、食べ物だけではなく運動などの条件が重なったときに起こるタイプもあります。
そのため、「食べた直後だけ大丈夫なら安心」とは言い切れず、症状の出方を丁寧に整理することが大切です。

主な症状

よくみられる症状は、じんましん、赤み、かゆみ、唇やまぶたの腫れなどの皮膚・粘膜症状です。
ほかにも、
口の中やのどの違和感、咳、ゼーゼー、呼吸が苦しい、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが起こることがあります。
症状は1つだけのこともあれば、複数の臓器に同時に出ることもあります。 

複数の臓器に急速に強い症状が出るものをアナフィラキシーといい、さらに血圧低下や意識障害を伴うとアナフィラキシーショックと呼ばれます。
息苦しさ、繰り返す嘔吐、ぐったりする、顔色が悪い、反応が鈍いといった症状は特に注意が必要です。 

また、食べたあとに運動したときだけ症状が出る「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」というタイプもあります。
小麦や甲殻類が原因になることが多く、食後30分~4時間以内の運動で、じんましん、吐き気、呼吸苦、めまいなどが出る場合には注意が必要です。

原因

原因となる食べ物は人によって異なりますが、鶏卵、牛乳、小麦、落花生、木の実類、魚卵、果物、甲殻類など、日常的によく口にする食品が関係することがあります。
食物アレルギーは、単に「その食品が苦手」「食べるとお腹をこわしやすい」という体質とは異なり、免疫反応が関与している点が特徴です。 

また、同じ食べ物でも、量、加熱の有無、体調、運動、感染症、疲労などで症状の出やすさが変わることがあります。
ある日は食べても大丈夫だったのに、別の日には症状が出ることもあり、こうした背景が診断では重要です。

検査および診断

診断で最も大切なのは、何を、どのくらい、どんな形で食べて、どのくらいの時間で、どんな症状が出たかを詳しく確認することです。
必要に応じて、血液検査で特異的IgE抗体を調べたり、皮膚テストを行ったりしますが、これらは「その食べ物に反応しうる体質があるか」をみる検査であり、陽性だからといってそれだけで食物アレルギーと確定するわけではありません。 

診断をより確実にするために、必要に応じて食物経口負荷試験が行われます。
これは病院で実際に疑わしい食べ物を少しずつ摂取し、症状が出るかどうかを確認する検査です。
食物経口負荷試験は、原因食物の確定だけでなく、どの程度まで安全に食べられるか、あるいは耐性がついてきたかを確認する目的でも行われます。 

ただし、食物経口負荷試験はアナフィラキシーなどの重い症状を起こす可能性があるため、緊急対応ができる体制の整った医療機関で実施する検査です。
症状や既往によっては、専門医療機関への紹介が必要になります。

治療

食物アレルギーの基本は、正しい診断に基づいて、必要最小限の除去を行うことです。
つまり、「症状が実際に出る原因食物だけを避ける」「念のためで広く除去しすぎない」ことが大切です。
原因食物であっても、加熱すれば食べられる、少量なら症状が出ない、という方もおり、その範囲は人によって異なります。 

食べられる範囲の判断は、問診や検査、必要時の食物経口負荷試験をもとに医師が行います。
自己判断で完全除去を続けたり、反対に自宅で少しずつ試したりすることは危険な場合があります。
特に、重い症状の既往がある方や喘息を合併している方では慎重な管理が必要です。 

重い症状を起こしたことがある方では、症状出現時の対応をあらかじめ決めておくことが重要です。
アナフィラキシーの既往がある患者さんでは、アドレナリン製剤の携帯が検討されることがあります。

診断の注意点

食物アレルギーは、血液検査だけでは診断できません
特異的IgE抗体が陽性でも、実際には症状が出ないことがあり、逆に検査値が低くても症状が出ることがあります。
診断では、検査結果だけではなく、症状の再現性や食べ方、量、タイミングを総合して判断します。 

また、「食べたあとに湿疹が悪化した気がする」というだけで、すぐに食物アレルギーと決めつけることはできません。
じんましん、口まわりの刺激症状、感染性胃腸炎、食中毒、食物不耐症、運動との組み合わせで起こる反応など、見分けが必要な病気や状態があります。

日常生活で気をつけたいこと

まず大切なのは、原因食物を正しく把握することです。
必要以上に多くの食品を避けるのではなく、診断された原因食物について、どの程度まで避ける必要があるのかを確認しましょう。
除去が必要な場合でも、栄養の偏りが出ないよう配慮し、定期的に見直すことが重要です。 

加工食品を利用する際は、食品表示の確認が大切です。
日本では、容器包装された加工食品について、特定原材料の表示が義務づけられています。
2026年4月1日からは、義務表示の対象にカシューナッツが追加され、推奨表示にピスタチオが加わりました。
現時点では、義務表示の対象は
えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)です。 

一方で、表示制度は主に容器包装された加工食品が対象で、外食や店内調理品では同じ形の表示義務がありません。
そのため、外食やテイクアウトでは、原材料や調理環境についてお店に確認することがより重要です。 

園や学校、職場、習い事先などでは、誤食時の対応を含めて周囲と情報共有しておくことも大切です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーが疑われる方は、食後の運動にも注意が必要です。 

当院の治療

当院では、食物アレルギーが疑われる患者さんに対して、まず症状の出方、食べた内容、発症までの時間、皮膚症状の経過を丁寧に確認し、食物アレルギーが本当に関与しているかを整理します。
じんましんや湿疹、口まわりの皮膚症状など、皮膚科の視点から状態を確認し、必要に応じて血液検査を検討します。
食物アレルギーでは、検査だけで判断せず、症状の経過とあわせて総合的に評価することが大切です。 

また、アナフィラキシーの既往がある方や、重い症状を起こす危険性が高い方には、エピペン®の処方に対応しております。
 処方の際は、どのような症状のときに使うのか、いつ使うべきか、実際の使い方、使用後に救急要請が必要であることまで含めて丁寧にご説明します。
食物アレルギーの診療では、「症状を起こさないための管理」と「症状が出てしまったときの適切な対応」の両方が重要です。 

さらに、食物経口負荷試験など、より専門的な評価が必要な場合には、専門医療機関と連携しながら適切な診療につなげてまいります。
 食事制限は自己判断で広げず、必要最小限となるよう一緒に整理していきます。

このような場合は早めの受診をおすすめします

食べたあとに毎回じんましんが出る、口やのどがイガイガする、腹痛や嘔吐を繰り返す、咳やゼーゼーが出る、といった場合は早めの受診をおすすめします。
特に、複数の臓器に症状が出る場合はアナフィラキシーの可能性もあるため、自己判断で様子を見るのは危険です。 

また、息苦しい、声がれ、繰り返す嘔吐、ぐったりする、顔色が悪い、意識がもうろうとするといった症状は緊急性があります。
すぐに救急要請が必要なことがあります。食後の運動で症状が出る場合も、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの可能性があり、早めの評価が必要です。

よくある質問

Q.食物アレルギーは血液検査だけでわかりますか?
A. いいえ。
血液検査は、特定の食べ物に反応しうる体質があるかをみるのに役立ちますが、それだけで診断は確定できません。
実際に症状が出たかどうか、どのように出たかを合わせて判断します。必要に応じて食物経口負荷試験が検討されます。 

Q.アレルギーが疑わしい食品は、とりあえず全部やめた方がいいですか?
A. 自己判断で広く除去するのはおすすめできません。
食物アレルギーの管理の原則は「必要最小限の除去」です。
栄養の偏りや生活の負担につながるため、原因食物と必要な除去範囲を整理することが大切です。 

Q.少しなら食べても大丈夫なことはありますか?
A. あります。
原因食物でも、少量なら症状が出ない方や、加熱した形なら食べられる方がいます。
ただし、その判断は自己流で行わず、医師の評価のもとで進めることが大切です。 

Q.食物アレルギーは治りますか?
A. 原因食物や年齢によって異なりますが、成長とともに食べられるようになる方もいます。
その確認のために、必要に応じて食物経口負荷試験が行われます。 

Q.食後に運動して具合が悪くなるのも食物アレルギーですか?
A. はい、その可能性があります。
食べ物だけではなく、食後の運動が加わったときにだけ起こる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」というタイプがあります。
疑わしい場合は受診して評価を受けましょう。

まとめ

食物アレルギーは、じんましんだけの軽い症状から、命に関わるアナフィラキシーまで幅広い症状を起こしうる病気です。
一方で、診断は見た目や血液検査だけで簡単に決められるものではなく、問診を丁寧に行い、必要に応じて適切な検査につなげることが大切です。 

食事制限は「念のため」で広げるのではなく、正しい診断に基づいて必要最小限にすることが基本です。
食後に皮膚症状や体調不良を繰り返す方、何を食べればよいか不安な方は、お早めにご相談ください。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。

院長 水野 謙太

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