じんましん(蕁麻疹)
じんましん(蕁麻疹)とは
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、強いかゆみを伴う病気です。
数十分から数時間で跡を残さず消えることが多い一方で、場所を変えながら繰り返すことがあります。
赤みやふくらみは「みみず腫れ」のように見えることが多く、顔、体、腕、足など全身のどこにでも起こります。
蕁麻疹は、食べ物だけが原因とは限りません。実際には、疲労、ストレス、感染症、発汗、寒暖差、圧迫、摩擦など、さまざまな刺激をきっかけに起こることがあります。
また、原因を詳しく調べても、はっきり特定できないケースも少なくありません。
主な症状
このような症状はありませんか?
・急に皮膚が赤く盛り上がってかゆくなる
・数時間で消えるが、別の場所にまた出てくる
・疲れた時や寝不足の時に悪化しやすい
・入浴、運動、発汗のあとに出やすい
・寒さや日光、衣類のこすれで出ることがある
・まぶたや唇が腫れることがある
蕁麻疹に伴って、まぶたや唇などの深い部分が腫れる血管性浮腫を合併することもあります。
蕁麻疹の大きな特徴は、発疹が出たり消えたりすることです。
湿疹やかぶれとは異なり、ひとつひとつの膨らみは一過性で、跡を残しにくいことが多いとされています。
一方で、毎日のように繰り返す場合や、症状が長く続く場合には、慢性化している可能性があります。
一般に、6週間以内のものを急性蕁麻疹、6週間以上続くものを慢性蕁麻疹として扱います。
原因
蕁麻疹には、明らかな誘因が見つからないタイプと、特定の刺激で起こるタイプがあります。
慢性蕁麻疹では、原因がはっきりしない特発性蕁麻疹が最も多く、7〜8割前後を占めるとされています。
一方で、寒冷、温熱、圧迫、日光、発汗などの刺激で起こる誘発型蕁麻疹もあります。以下に蕁麻疹の種類を挙げます。
蕁麻疹の種類
接触蕁麻疹
特定の物質が皮膚に触れたあと、触れた部位を中心に赤み、膨らみ、かゆみが短時間で出るタイプです。
化粧品、植物、ゴム製品、食品などがきっかけになることがあります。まずは原因として疑われるものとの接触を避けることが大切です。
物理性蕁麻疹
こする、押す、冷える、温まる、日光に当たる、水に触れるなど、物理的な刺激をきっかけに起こる蕁麻疹です。
日常生活の中に誘因があるため、「どんな時に出るか」を把握することが診断の助けになります。
物理性蕁麻疹として更に、機械性、寒冷、温熱、日光、遅発性圧、水蕁麻疹などが扱われています。
機械性蕁麻疹
皮膚をかいたり、衣類やマスクがこすれたりしたあとに、刺激に沿って線状に盛り上がるタイプです。
ベルトや下着、バッグの持ち手など、繰り返し摩擦が加わる部位で目立つことがあります。
寒冷蕁麻疹
冷たい空気、水、飲み物などに触れたあとに症状が出るタイプです。
冬場や冷水での洗顔、プールなどをきっかけに気づかれることがあります。広い範囲が急に冷やされると症状が強く出ることもあります。
温熱蕁麻疹
温かいものに触れた部位や、局所的に熱が加わった部位に症状が出るタイプです。
熱いタオル、入浴、温熱刺激などで起こることがあります。
汗や体温上昇で起こるコリン性蕁麻疹とは別の病型です。
日光蕁麻疹
日光を浴びたあと、露出した部位に比較的短時間でかゆみや膨らみが出るタイプです。
日焼けとは異なり、紫外線曝露後まもなく症状が出る点が特徴です。
遅発性圧蕁麻疹
圧迫された直後ではなく、数時間たってから腫れや痛み、重だるさが出るタイプです。
長時間座ったあと、重い荷物を持ったあと、きつい靴やベルトのあとなどでみられることがあります。
水蕁麻疹
水に触れたことをきっかけに症状が出る、比較的まれなタイプです。
洗顔、入浴、雨などで違和感を覚える場合があります。頻度は高くありませんが、症状の出方から疑うことがあります。
コリン性蕁麻疹
運動、入浴、緊張、辛いもの、発熱などによって体温が上がり、汗をかく場面で出やすいタイプです。
小さな膨疹が多数あらわれ、かゆみだけでなく、ピリピリ・チクチクした刺激感を伴うことがあります。
検査
蕁麻疹は、診察時の皮膚所見と経過の聞き取りがとても重要な病気です。
そのため、すべての方に一律で検査が必要というわけではありません。
まずは、いつ・どこに・どのように出るのか、何がきっかけになっていそうかを確認します。
必要に応じて、血液検査などを行うことがありますが、特に慢性蕁麻疹では、詳しく調べても原因が明確にならないこともあります。
蕁麻疹はI型アレルギーがよく知られている一方、実際には原因抗原を特定できることは少ないです。
治療
蕁麻疹の治療は、症状をしっかり抑え、日常生活に支障が出にくい状態を保つことが基本です。
まずは原因や誘因が明らかな場合、それをできるだけ避けることが大切です。
1.抗ヒスタミン薬による治療
もっとも基本となる治療は、抗ヒスタミン薬の内服です。
かゆみや膨疹を抑え、症状が出にくい状態を目指します。症状が軽くなっても自己判断で急に中止すると再発することがあるため、症状の経過をみながら調整していくことが重要です。通常量で十分に改善しない場合でも、薬の変更や用量調整でコントロールしやすくなることがあります。
2.オマリズマブ(ゾレア®︎)
抗ヒスタミン薬だけでは十分に抑えられない慢性蕁麻疹では、オマリズマブ(ゾレア®︎)が治療の選択肢になります。
オマリズマブは、慢性蕁麻疹のうち既存治療で十分な効果が得られない場合に検討される注射薬です。
実際の適応や投与方法は、病型や症状の程度、これまでの治療経過によって判断します。
3.デュピルマブ(デュピクセント®︎)
2024年に「既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹」に対して、デュピルマブ(デュピクセント®︎)の適応が通りました。
実際の適応や投与方法は、病型や症状の程度、これまでの治療経過によって判断します。
診断の注意点
蕁麻疹は、血液検査だけで診断が決まる病気ではありません。
実際には、かゆみを伴う赤い膨らみ(膨疹)が突然あらわれて短時間で消えるか、1つ1つの発疹が24時間以内に消えるか、どのような時に繰り返すかなどを総合的にみて診断します。
また、膨疹があるからといって、すべてが蕁麻疹とは限りません。虫刺症、薬疹、多形紅斑、蕁麻疹様血管炎、色素性蕁麻疹など、似た症状を示す他の病気との見分けが大切です。
さらに、蕁麻疹はアレルギーが関係することもありますが、アレルギー検査の結果だけで診断や原因を決めることはできません。
寒冷、温熱、圧迫、発汗、日光など、症状が出るきっかけを丁寧に確認することが重要です。
まぶたや唇の腫れを伴う場合や、息苦しさ、のどの違和感、腹痛、気分不良を伴う場合には、血管性浮腫やアナフィラキシーなども含めて慎重な判断が必要です。
日常生活で気をつけたいこと
・疲労や睡眠不足をためない
・強いストレスをできるだけ避ける
・体を急に温めすぎたり冷やしすぎたりしない
・皮膚を強くこすらない
・症状が出た時の食事、運動、入浴、発汗、服薬内容を記録する
蕁麻疹は、日常の小さな刺激が誘因となることがあります。
特に誘発型蕁麻疹では、何がきっかけで出るのかを把握すること自体が治療の一部になります。
当院の治療
当院では、皮膚症状の出方や経過を丁寧に確認したうえで、かゆみや膨疹をしっかり抑えることと、再発をできるだけ防ぎながら安定した状態を保つことの両方を大切にしています。
「薬を飲んでもなかなか治まらない」
「良くなっても繰り返してしまう」
「何がきっかけになっているのかわからない」
「いつまで治療を続ければよいのかわからない」
このようなお悩みに対しても、症状の経過や悪化のきっかけを一緒に整理しながら、内服治療の進め方や日常生活での注意点について、わかりやすくご説明します。
治療の基本は抗ヒスタミン薬の内服ですが、症状が長引く方や、通常の治療だけでは十分にコントロールできない方には、必要に応じてオマリズマブ(ゾレア®︎)やデュピルマブ(デュピクセント®︎)などの治療選択肢も含めてご提案します。
このような場合は早めの受診をおすすめします
・蕁麻疹を何度も繰り返す
・6週間以上続いている
・市販薬では改善しない
・まぶたや唇の腫れを伴う
・仕事や睡眠に支障が出ている
また、息苦しさ、のどの違和感、声のかすれ、強い腹痛、気分不良を伴う場合には、アナフィラキシーなどを含めた緊急対応が必要になることがあります。
よくある質問
Q.蕁麻疹はうつりますか
A.蕁麻疹そのものが人にうつることはありません。
ただし、風邪などの感染症がきっかけとなって蕁麻疹が出ることはあります。
Q.食物アレルギーが原因ですか
A.食べ物がきっかけになることはありますが、慢性蕁麻疹では食物だけが原因とは限りません。
詳しく調べても原因が特定できないことは珍しくありません。
Q.蕁麻疹は跡に残りますか
A.通常の蕁麻疹は、一つひとつの膨疹が一過性で、跡を残しにくいのが特徴です。
ただし、掻きこわしによる色素沈着などが残ることはあります。
Q.蕁麻疹の治療は飲み薬だけですか
A.まずは抗ヒスタミン薬の内服が基本ですが、慢性蕁麻疹で内服のみでは十分に抑えきれない場合には、オマリズマブ(ゾレア®︎)やデュピルマブ(デュピクセント®︎)などの治療が検討されることがあります。
適応となるかどうかは、症状の経過や病型によって異なります。
Q.どれくらいで治りますか
A.急性蕁麻疹は比較的短期間で改善することがあります。
一方、慢性蕁麻疹は一定期間治療を続けながら、症状をコントロールしていくことが大切です。
まとめ
蕁麻疹は、突然あらわれるかゆみや膨らみを特徴とする皮膚疾患です。
原因がはっきりしないこともありますが、症状の出方やきっかけを整理することで、病型の見極めや治療方針につながります。
治療の基本は抗ヒスタミン薬ですが、慢性蕁麻疹ではオマリズマブ(ゾレア®︎)やデュピルマブ(デュピクセント®︎)などが選択肢になる場合もあります。
症状を繰り返す場合や長引く場合は、どうぞご相談ください。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。
西新井みずの皮膚科クリニック
院長 水野 謙太
