花粉症、花粉皮膚炎
花粉症・花粉皮膚炎とは
花粉症は、花粉が原因で起こる季節性のアレルギー疾患です。
主にアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎としてあらわれ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどがみられます。
日本では春のスギ・ヒノキによる花粉症がよく知られていますが、夏から秋にかけてのイネ科やブタクサ、ヨモギなどが原因になることもあります。
花粉症は命に関わる病気ではないことが多い一方で、鼻や目の症状が続くことで、睡眠の質が下がったり、仕事や勉強、家事に集中しにくくなったりすることがあります。
毎年同じ時期につらくなる方は、我慢せず早めに対策することが大切です。
主な症状
花粉症の代表的な症状は、繰り返すくしゃみ、さらさらした鼻水、鼻づまりです。
目の症状としては、かゆみ、充血、涙目、異物感がよくみられます。
鼻炎と結膜炎は一緒に起こることが多く、「鼻もつらいし、目もつらい」という形で受診される方が少なくありません。
症状が強い場合には、のどのかゆみ、咳、だるさ、頭が重い感じを伴うこともあります。
また、花粉の影響で目のまわりや首、耳まわりの皮膚が荒れる、あるいはもともとのアトピー性皮膚炎が悪化するように感じる方もいます。
花粉症のある方の中には、特定の果物や生野菜を食べたあとに、口の中や唇、のどがイガイガしたり、かゆくなったりすることがあります。
これは花粉-食物アレルギー症候群と呼ばれる関連症状です。
原因
花粉症は、体が花粉を「異物」と認識し、アレルギー反応を起こすことで発症します。
花粉が鼻や目から体に入ることを繰り返すうちに、花粉に対する反応が強くなり、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が出るようになります。
関東では春のスギ花粉が代表的ですが、スギのあとにヒノキ、さらに時期をずらしてイネ科やブタクサ、ヨモギなどでも症状が出ることがあります。
「春だけ」と思っていた症状が、実は別の花粉で長引いていることもあります。
検査および診断
診断では、まずいつ頃から、どのような症状が、毎年どの時期に出るのかを丁寧に確認します。
症状の出る季節、鼻や目の症状の組み合わせ、生活への影響などをみることがとても大切です。
必要に応じて、血液検査(特異的IgE抗体検査)を行い、スギ、ヒノキ、イネ科、ブタクサなど、どの花粉に反応している可能性があるかを調べます。
検査は原因の推定に役立ちますが、検査が陽性でも症状がなければ、必ずしもそれが実際の原因とは限りません。
症状の時期や経過と合わせて判断することが大切です。
治療
花粉症の治療は、大きく分けて薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法があります。
多くの方では、まず内服薬や点鼻薬、点眼薬を組み合わせて症状を抑えていきます。
薬物療法では、鼻水やくしゃみを抑える抗ヒスタミン薬、鼻の炎症を抑える点鼻ステロイド薬、鼻づまりが強い方に使う薬、目の症状に対する抗アレルギー点眼薬などが用いられます。
抗ヒスタミン薬は眠気が問題になることがありますが、眠気の出にくいタイプもあります。
毎年症状が出る方には、花粉が本格的に飛び始める前、あるいは症状がごく軽いうちから治療を始める初期療法が勧められます。
早めに薬を始めることで、シーズン中の症状を抑えやすくなります。
症状が強く、通常の治療だけでは不十分な場合には、アレルゲン免疫療法が選択肢になります。
日本では、花粉症に対する舌下治療としてスギ花粉が保険適用になっており、花粉が飛んでいない時期から開始し、年単位で続ける治療です。
一方で、鼻づまりが非常に強い場合や、薬で十分な効果が得られない場合には、耳鼻咽喉科での手術療法が検討されることがあります。
診断の注意点
花粉症は、特にはじめて症状が出たときには、かぜと間違われることがあります。
花粉症では、鼻水は比較的無色でさらさらしていることが多く、くしゃみが続いて出やすいのが特徴です。
一方、かぜや副鼻腔炎では、粘り気のある鼻水や発熱、のどの強い痛みなどが目立つことがあります。
目の症状も、すべてが花粉症とは限りません。
アレルギー性結膜炎に似た病気として、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎、クラミジアなどがあり、診断の見極めが大切です。
目やにが多い、片目だけひどい、痛みが強い、見えにくいといった場合は、眼科での評価が必要です。
また、点眼ステロイド薬は有効なことがありますが、眼圧上昇などの副作用確認のため眼科での定期的な管理が必要です。
自己判断で漫然と続けないことが大切です。
日常生活で気をつけたいこと
花粉症対策で大切なのは、花粉をなるべく浴びないこと、家の中へ持ち込まないことです。
外出時は、顔に合ったマスクやメガネを使い、花粉の多い時間帯である昼前後や夕方の外出をできるだけ避けるとよいとされています。
特に、晴れて気温が高い日、空気が乾燥して風が強い日、雨上がりの翌日は飛散が多くなりやすいとされています。
帰宅後は、手洗い、うがい、洗顔、洗髪などで花粉を落とし、室内へ持ち込む量を減らしましょう。
窓を大きく開けっぱなしにするのではなく、開け幅を狭くする、レースのカーテンを使うなど、換気の工夫も役立ちます。
床の掃除やカーテンの洗濯も有効です。
洗濯物や布団の外干しは、飛散の多い時期には控えめにするのがおすすめです。
また、衣類は花粉が付きやすいウール素材を避け、比較的付きにくい素材を選ぶ工夫も役立ちます。
鼻をかみすぎて鼻の下が荒れてしまうときは、やわらかいティッシュを使い、必要に応じてワセリンなどで保護するのも一つの方法です。
当院の治療
当院では、花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみだけでなく、花粉の時期に目立ちやすい目のまわりのかゆみ、鼻の下の荒れ、首まわりの皮膚トラブルなども含めて、全体をみながら治療方針をご提案します。
治療は、症状の強さや出る時間帯、眠気の出やすさ、仕事や学校への影響をふまえて、内服薬を基本に、必要に応じて点鼻薬・点眼薬を組み合わせる形が中心になります。
毎年つらい方には、シーズン前からの初期療法もご案内できます。
目の症状が強い方、視力低下や痛みを伴う方、眼科管理が必要な点眼治療が想定される方には眼科受診を、鼻づまりが強く免疫療法や手術を含めた検討が必要な方には耳鼻咽喉科受診をご案内します。
このような場合は早めの受診をおすすめします
毎年同じ時期に症状が出る方は、本格的な花粉飛散の1週間前まで、あるいは症状が出始めた早い段階で受診すると、シーズンを比較的楽に過ごしやすくなります。
また、次のような場合は早めの受診をおすすめします。
市販薬で十分に改善しない、鼻づまりが強く眠れない、目のかゆみや充血が強い、痛みや見えにくさがある、黄色い鼻水や発熱を伴う、咳や喘鳴を伴う、肌荒れが強いといった場合です。
花粉症以外の病気が隠れていないかの確認も大切です。
よくある質問
Q.花粉症は自然に治りますか?
A. 症状が年によって軽い年・重い年はありますが、体質との関係が強く、自然に完全になくなるとは限りません。
ただし、適切な治療や生活上の工夫で症状を軽くすることは十分可能です。
アレルゲン免疫療法では、長期的な改善が期待できる方もいます。
Q.市販薬だけで様子をみてもよいですか?
A. 以前と同じような軽い症状であれば、市販薬が役立つこともあります。
ただ、初めての症状、症状が強い場合、毎年悪化している場合、目や皮膚の症状が強い場合は、自己判断だけで続けず医療機関で相談するのがおすすめです。
Q.花粉症で肌荒れすることはありますか?
A. あります。花粉そのものの影響に加え、目をこする、鼻を何度もかむ、乾燥が重なるなどの理由で、目のまわりや鼻の下、首などの皮膚が荒れることがあります。
もともと敏感肌やアトピー性皮膚炎のある方では、悪化しやすいことがあります。
Q.いつから治療を始めるのがよいですか?
A. 毎年つらい方は、症状が強くなる前の早めの開始が大切です。
飛散開始前から、あるいは「少しおかしい」と感じた段階から治療を始めると、シーズン中の症状を抑えやすくなります。
Q.目がかゆいとき、こすっても大丈夫ですか?
A. なるべくこすらないようにしてください。
こすると炎症が悪化しやすくなります。
症状が強いときは、適切な点眼治療が必要です。
まとめ
花粉症はとても身近な病気ですが、症状が続くと日常生活の質を大きく下げてしまいます。
毎年くり返すくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは、早めに対策することでかなり楽になることがあります。
鼻や目の症状だけでなく、花粉の時期の肌荒れが気になる方も、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。
院長 水野 謙太
