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脂肪腫

脂肪腫とは

脂肪腫は、脂肪細胞からなる良性の軟部腫瘍です。
首、肩、背中、腕、太ももなどにできやすく、皮膚のすぐ下にできることが多い一方、やや深い場所にできることもあります。
通常はゆっくり大きくなり、1つだけできる方もいれば、複数みられる方もいます。 

多くの脂肪腫は治療を急ぐ必要はありませんが、大きくなる、痛みがある、見た目や衣類の擦れが気になるといった場合には、手術による摘出が検討されます。

主な症状

脂肪腫でよくみられる症状は次のようなものです。

  • 皮膚の下にある、やわらかいしこり
  • 触ると少し動く感じがする
  • ゆっくり大きくなる
  • 多くは痛みがない
  • 神経や周囲組織を圧迫すると痛みや違和感が出ることがある

脂肪腫は一般にやわらかく、ゴムのような感触で、軽く押すと少し動くことがあります。
大きさは小さいものから数cm以上までさまざまで、通常はゆっくりと大きくなります。
まれに血管が多いタイプや神経の近くにある場合には、痛みを伴うことがあります。

原因

脂肪腫のはっきりした原因は、現在でも必ずしも明確ではありません。多くは自然に発生し、体質的な要素が関係することがあります。家族内でみられる場合もあり、複数の脂肪腫ができやすい方もいます。 

一般的には、生活習慣や食べ物だけが直接の原因と断定できるわけではありません。
つまり、脂っこいものを食べたからできる、という単純なものではありません。 

検査および診断

脂肪腫は、まず問診と視診・触診で診断を考えます。
しこりの大きさ、硬さ、動きやすさ、痛みの有無、どのくらい前からあるか、急に大きくなっていないかなどを確認します。
典型的な脂肪腫であれば、診察所見から強く疑うことができます。 

一方で、大きいもの、深い場所にあるもの、通常と異なる硬さがあるもの、急に大きくなるものでは、超音波検査、MRI、CTなどの画像検査や、必要に応じて病理検査を行うことがあります。

治療

脂肪腫は、必ずしもすべてに治療が必要なわけではありません。
小さくて症状がなく、日常生活に支障がなければ経過観察も選択肢です。

ただし、以下のような場合には治療を考えます。

・大きくなってきた
・痛みや圧迫感がある
・服に擦れて気になる
・見た目が気になる
・診断をはっきりさせたい
・悪性を完全には否定できない

このような場合の基本的な治療は、手術による摘出です。
症状のある脂肪腫や気になる脂肪腫に対しては、
完全切除が根治的で、再発は少ないとされています。

手術について

手術は、多くの場合、局所麻酔による外来手術で行います。
しこりの上を適切に切開し、周囲組織から脂肪腫を丁寧に剥がして摘出します。
脂肪腫には被膜があることが多く、できるだけその形を保ちながら摘出することで、取り残しを少なくします。

術後について

術後は、部位や大きさに応じて傷の安静や通院が必要です。

摘出した組織は、必要に応じて病理検査に提出し、脂肪腫であることを確認します。
完全に摘出できれば再発は少ないとされています。

診断の注意点

「やわらかいしこり=すべて脂肪腫」とは限りません。
実際には、粉瘤、血管性の病変、線維性のしこり、神経由来の腫瘍など、似たように見える病変があります。
また、まれではありますが、
脂肪肉腫など別の腫瘍との見分けが必要な場合があります。 

特に注意したいのは、

・急に大きくなってきた
・硬い
・動きにくい
・痛みが強い
・深いところにある感じがする
・しこりが大きい
・見た目や触り心地が典型的な脂肪腫と異なる

といった場合です。

日常生活で気をつけたいこと

脂肪腫がある場合、基本的には無理に触らず、強く押したり潰したりしないことが大切です。
脂肪腫そのものが押して治ることはありませんし、繰り返し刺激すると痛みや炎症のきっかけになることがあります。 

また、しこりの大きさや硬さに変化がないか、ときどき確認しておくと安心です。
衣類やベルト、下着、バッグの肩紐などで擦れて気になる場合は、部位に応じて早めに相談するとよいでしょう。

当院の治療

当院では、脂肪腫が疑われるしこりに対して、まず診察で良性らしい所見かどうかを確認し、必要に応じて治療方針をご提案します。
小さく症状のないものは経過観察も可能ですが、
大きさ、部位、痛み、整容面、生活への支障を踏まえて、摘出術を検討します。 

また、典型的な脂肪腫とは言い切れない場合には、安易に「様子をみましょう」とせず、必要に応じて画像検査や高次医療機関へのご紹介も含めて判断します。
しこりの診療では、取るか取らないかだけでなく、
まず見極めることが大切です

このような場合は早めの受診をおすすめします

・しこりが少しずつでも大きくなっている
・短期間で急に大きくなった
・触ると硬い
・動きが悪い
・痛みがある
・赤みや熱感がある
・衣類に擦れてつらい
・見た目が気になる
・以前からあったが最近変化してきた
・しこりが深い場所にあるように感じる

特に、増大するしこり、硬くて動きにくいしこり、痛みを伴うしこりは、脂肪腫以外も含めて確認した方が安心です。

よくある質問

Q.脂肪腫は自然に治りますか?
A.
自然に小さくなることはあまり期待できませんが、変化が少なくそのまま経過することはあります。症状がなければ経過観察できることも多いです。 

Q.脂肪腫はがんですか?
A.一般的な脂肪腫は良性で、通常はがんではありません。ただし、似たしこりの中には別の病気が含まれることがあるため、自己判断せず診察を受けることが大切です。 

Q.脂肪腫は痛くなりますか?
A.多くは痛みがありませんが、神経を圧迫したり、血管が多いタイプであったり、擦れや圧迫がある場合には痛むことがあります。 

Q.手術しないといけませんか?
A.
必ずしも全例で手術が必要ではありません。大きさや症状、見た目、生活への影響、診断の確かさを考えて決めます。 

Q.手術しても再発しますか?
A.完全に摘出できれば再発は少ないとされています。ただし、しこりの性質や部位によっては個別の判断が必要です。 

Q.粉瘤との違いは何ですか?
A.脂肪腫は脂肪のしこりで、やわらかく動きやすいことが多いです。
粉瘤は袋の中に老廃物がたまるできもので、中央に黒い点があったり、炎症を起こして赤く腫れたり、内容物が出たりすることがあります。
これは一般的な特徴の違いで、実際には診察で見分けます。 

Q.大きくても良性のことはありますか?
A.あります。ただし、大きいしこりや深いしこりでは、画像検査などで確認したほうがよい場合があります。 

Q.どの科に相談すればよいですか?
A.皮膚科、形成外科、皮膚外科などで相談されることが多いです。
皮膚のすぐ下のしこりは、まず皮膚科で相談し、必要に応じて連携先へ紹介する流れも一般的です。

まとめ

脂肪腫は、皮膚の下にできるやわらかい良性の脂肪のしこりで、多くは痛みがなく、ゆっくり大きくなります。
症状がなければ経過観察できることもありますが、
大きくなる、痛い、気になる、診断をはっきりさせたいといった場合には、手術による摘出が治療選択肢になります。 

一方で、しこりの中には脂肪腫以外の病気が紛れていることもあるため、急に大きくなる、硬い、動きにくい、痛いといった場合は早めの受診が大切です。
脂肪腫や皮膚のしこりでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。

院長 水野 謙太

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