汗疱・異汗性湿疹
西新井みずの皮膚科クリニックは、足立区・
足立区・
汗疱・異汗性湿疹とは
汗疱(かんぽう)・異汗性湿疹は、手のひら、指の側面、足の裏などに、小さな水ぶくれとかゆみを繰り返す湿疹です。皮膚科では「汗疱」「異汗性湿疹」「汗疱状湿疹」など、近い意味で使われることがあります。はじめは細かい水疱が目立ち、時間がたつと赤み、皮むけ、ひび割れ、痛みへと変化していくことがあります。再発を繰り返しやすく、日常生活や仕事に影響しやすい病気です。
名前に「汗」という字が入っていますが、単純に“汗の通り道が詰まる病気”というわけではありません。現在では、汗そのものだけで起こるのではなく、体質、刺激、接触アレルギー、金属、足白癬などの感染、発汗、季節、ストレスなど、いくつかの要因が関わって起こると考えられています。
主な症状
よくみられる症状は、手のひらや指の横、足の裏にできる小さな水ぶくれです。
強いかゆみを伴うことが多く、むずむずする感じ、ピリピリ・チクチクする感じから始まることもあります。
水疱が破れたあとは、皮がむける、赤くなる、乾燥する、ひび割れてしみる・痛む、といった症状が続くことがあります。
症状の出方には個人差がありますが、
「最初は水ぶくれが目立つ」
「その後に皮むけやガサガサが残る」
「良くなったと思っても、季節の変わり目や手荒れのあとにまた出る」
という経過は珍しくありません。
原因
汗疱・異汗性湿疹の原因は、ひとつだけではないことが多いです。
皮膚科学会の手湿疹ガイドラインでも、原因不明のことが多い一方で、全身性接触皮膚炎などが関わる場合があるとされています。
関与が考えられる要因としては、以下のようなものがあります。
金属アレルギー(ニッケル・コバルトなど)、洗剤やハンドソープ、アルコール、ゴム手袋、化粧品や外用薬などによる刺激やかぶれ、足白癬などの感染、発汗や暑さ、乾燥、ストレスなどです。すべての方に当てはまるわけではありませんが、「何かをきっかけに悪化する」タイプの方も少なくありません。
検査および診断
診断は、まず皮膚の状態を丁寧に診察することが基本です。水疱の出る場所、左右差、赤みや皮むけの有無、職業や家事、手袋の使用、洗剤・消毒、季節との関係、足の症状の有無などを確認しながら総合的に判断します。
必要に応じて、追加の検査を行います。
たとえば、接触アレルギーが疑われる場合のパッチテスト、感染が疑われる場合の検査、足白癬など真菌感染を疑うときの確認などです。
手湿疹ガイドラインでも、難治例ではパッチテストや原因検索が重要とされ、感染症の検索も必要とされています。
また、見た目が似る病気との区別も大切です。掌蹠膿疱症、接触皮膚炎、白癬、疥癬などでは、治療方針が異なります。
治療
治療の基本は、炎症を抑えることと、再発しやすい原因を減らすことです。
皮膚科学会の手湿疹ガイドラインでは、まずスキンケアと原因・刺激の見直しを行いながら、症状に応じた強さのステロイド外用薬を使うことが推奨されています。
保湿も大切で、乾燥や皮膚バリアの乱れを整えることが再発予防につながります。
水疱が目立つ時期には、冷やす・ぬらしたガーゼなどで落ち着かせる対応が有効なことがあります。
かゆみが強いときには、症状に応じてかゆみを抑える内服薬を併用することもあります。
ひっかいて二次感染を起こしている場合には、その治療も必要です。
外用治療だけでは改善しにくい難治例や、再発を何度も繰り返す例では、紫外線療法が選択肢になります。
手湿疹ガイドラインでは、紫外線療法は難治例で検討してよい治療として位置づけられています。
さらに重症例では、短期間の全身治療が検討されることもありますが、これは状態をよく見極めながら慎重に判断します。
診断の注意点
汗疱・異汗性湿疹で大切なのは、「手足に水ぶくれがある=全部汗疱」とは限らないという点です。
白癬、接触皮膚炎、掌蹠膿疱症、疥癬など、見た目が似る病気があるため、長引く場合や繰り返す場合はきちんと見分けることが重要です。
- 汗疱・異汗性湿疹と汗疹(あせも)の違い -
患者さんが混同しやすいのが、汗疱とあせもです。あせもは、汗の通り道が詰まり、汗が皮膚にたまることで起こる発疹で、暑い時期に悪化しやすく、体のさまざまな場所に出ます。
これに対して汗疱・異汗性湿疹は、主に手足に小さな水疱を繰り返す湿疹で、名前に「汗」が入っていても、単純な汗管閉塞だけで説明できる病気ではありません。
日常生活で気をつけたいこと
日常生活では、手足への刺激を減らすことがとても大切です。水仕事、洗剤、アルコール消毒、摩擦、長時間の手袋着用などは、症状を悪化させることがあります。
必要な場面では手袋を使いつつ、蒸れや刺激を減らせるよう工夫し、手洗い後はこまめに保湿を行うことが大切です。
また、暑さ・発汗・乾燥・ストレスがきっかけになる方もいます。
汗をかいたらやさしく拭く、熱がこもりすぎないようにする、皮膚が乾きすぎないよう保湿する、無意識に掻いてしまう前に早めに治療を始める、といった対策が再発予防に役立ちます。
治療
当院では、まず現在の皮膚の状態を丁寧に確認し、
「今ある水疱や炎症をしっかり抑える治療」と
「再発しにくくするための治療」
の両方を大切にしています。
汗疱・異汗性湿疹は、単に塗り薬を出すだけでは改善しにくいことがあります。
「なかなか治らない」
「良くなってもまた繰り返す」
「手洗い・消毒・水仕事で悪化する」
といった場合には、外用薬の強さや使い方を細かく調整しながら、保湿や生活上の注意点も含めてわかりやすくご説明します。
また、必要に応じて、接触アレルギーや感染症の関与を確認し、原因検索を行います。
外用治療だけで改善が乏しい場合や、再発を繰り返す場合には、症状に応じて紫外線療法なども含めて治療方針をご提案します。
このような場合は早めの受診をおすすめします
手や足に小さな水ぶくれが何度も出る場合、かゆみや痛みで日常生活に支障がある場合、皮むけやひび割れが続く場合は、早めの受診をおすすめします。繰り返すタイプでは、我慢しているうちに湿疹が慢性化し、治りにくくなることがあります。
また、じゅくじゅくする、膿む、急に悪化する、別の病気との見分けが必要そうな場合も受診が望まれます。汗疱に見えても、白癬や接触皮膚炎、掌蹠膿疱症など別の疾患のことがあるためです。
よくある質問
Q.汗疱・異汗性湿疹は、あせもと同じですか?
A.いいえ、同じではありません。
あせもは、汗の出口が詰まり、汗が皮膚にたまることで起こる発疹です。一方、汗疱・異汗性湿疹は主に手足に出る再発性の湿疹で、汗だけが原因とは言い切れません。
Q.うつる病気ですか?
A.汗疱・異汗性湿疹そのものは、人にうつる病気ではありません。ただし、見た目が似る病気の中には感染症もあるため、自己判断せず診断を受けることが大切です。
Q.汗をかくと悪化しますか?
A.悪化のきっかけになる方はいます。暑さ、発汗、乾燥、ストレスは、症状の引き金になることがあります。ただし、全員が同じ理由で悪化するわけではなく、刺激や接触アレルギー、感染などが関わることもあります。
Q.検査は必ず必要ですか?
A.必ずしも全員に必要ではありません。まずは診察で判断することが多いですが、長引く場合、再発を繰り返す場合、かぶれや金属アレルギーが疑われる場合には、パッチテストなどを行うことがあります。また、感染症が疑われる場合にはその確認も大切です。
Q.繰り返す場合はどうすればよいですか?
A.繰り返す場合は、塗り薬だけでなく、悪化因子の見直しが重要です。手洗い・洗剤・手袋・金属・足の水虫・汗・乾燥など、関係する要素を一つずつ確認し、必要に応じて治療を調整します。難治例では紫外線療法などを検討することもあります。
まとめ
汗疱・異汗性湿疹は、手足に小さな水ぶくれやかゆみを繰り返す湿疹で、あせもとは異なる病気です。原因はひとつではなく、刺激、接触アレルギー、発汗、乾燥、感染などが関わることがあります。大切なのは、今の炎症をしっかり抑えることと、再発のきっかけを一緒に見つけていくことです。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。
西新井みずの皮膚科クリニック
院長 水野 謙太
日本専門医機構認定 皮膚科専門医
