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帯状疱疹

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、子どもの頃などにかかった水ぼうそうのウイルスが体内に潜み、再び活動することで起こる病気です。体の左右どちらか一方に、ピリピリ・チクチクした痛みとともに、赤みや水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。加齢とともに発症しやすくなり、特に50歳以降で増え、免疫力が低下している方では注意が必要です。

帯状疱疹で問題となるのは、皮膚症状だけでなく、強い痛みや合併症です。顔や目、耳の周囲に出た場合には、眼の障害や顔面神経麻痺、難聴、めまいなどを伴うことがあり、早めの診断と治療が大切です。

また、皮膚の症状が治ったあとも痛みが長く残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛といいます。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の代表的な合併症のひとつで、衣服が触れるだけでも痛い、風が当たるだけでもつらい、眠れないなど、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

帯状疱疹の主な症状

帯状疱疹では、まずピリピリ、チクチク、焼けるような痛みや違和感が先に出て、その後に赤みや小さな水ぶくれが出てくることが少なくありません。

皮疹が出る前に痛みを感じる方は70~80%とされています。 

皮膚症状としては、神経に沿って片側だけに赤みが出て、その上に水ぶくれ、膿をもったぶつぶつ、かさぶたができていきます。

体幹、胸、背中に多いですが、顔、額、まぶた、鼻、耳、おしりなどにも出ます。体の真ん中をまたいで反対側まで広がることは通常多くありません。 

痛みの感じ方には個人差があり、

「ヒリヒリする」

「ズキズキする」

「電気が走るように痛い」

「刺されるように痛い」

「触れるだけでつらい」

と表現されることがあります。

帯状疱疹後神経痛では、こうした痛みが皮膚症状のあとにも続き、感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりすることがあります。 

顔に出た場合は特に注意が必要です。

額からまぶた、鼻にかけて出る帯状疱疹では眼の合併症が起こりやすく、耳の周囲に出る場合は顔面神経麻痺、耳鳴り、難聴、めまいを伴うことがあります。

帯状疱疹の原因

原因は、過去にかかった水ぼうそうのウイルスです。水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは神経節に潜伏し続けています(潜伏感染)。そのウイルスが、加齢や疲労、免疫力の低下、病気や治療などをきっかけに再活性化して、帯状疱疹を発症します。 

発症しやすくなる要因としては、年齢を重ねることのほか、がん、免疫抑制治療、臓器移植後、HIV感染などが挙げられています。必ずしも「疲れたから出る」という単純なものではありませんが、体の抵抗力が落ちたタイミングで発症しやすいのは確かです。 

帯状疱疹後神経痛は、ウイルスの再活性化に伴って神経が障害されることで起こると考えられています。帯状疱疹の急性期の痛みが強いほど、年齢が高いほど、神経痛が長引きやすい傾向があります。 

帯状疱疹の検査および診断

帯状疱疹の典型例では、皮膚の見た目と痛みの出方から診断できることが少なくありません。神経の流れに沿って、片側に赤みと水ぶくれがまとまって出ていれば、診断の手がかりになります。 

一方で、症状が典型的でない場合は検査を組み合わせます。水ぶくれの内容物などを使って、イムノクロマト法(迅速抗原検査)TzanckテストPCRなどの核酸検査が行われることがあります。

帯状疱疹後神経痛の診断は、「帯状疱疹があった部位に一致して痛みが残っているか」を確認しながら行います。皮膚症状が治っても、その場所に焼けるような痛み、刺すような痛み、触れるだけで痛い感じが続く場合に疑います。一般に、発疹出現から90日以上続く痛みを帯状疱疹後神経痛とする考え方が広く用いられています。

帯状疱疹の治療

帯状疱疹の治療の基本は、抗ウイルス薬の全身投与です。バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル、アシクロビルなどが使われ、重症度や年齢、腎機能、合併症の有無に応じて薬を選びます。塗り薬だけでは不十分なことが多く、中心となるのは内服または必要時の点滴治療です。 

治療開始はできるだけ早いほど有利です。抗ウイルス薬はウイルスが盛んに増えている発症早期に最も効果を発揮し、皮疹出現後72時間以内が特に適した開始時期とされています。また、添付文書上も皮疹出現後5日以内の開始が望ましいとされています。早期治療は、皮膚病変の治りを早め、急性期の痛みを和らげることにつながります。 

痛みに対しては、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬が使われることがあります。特に灼熱感、しびれ、アロディニア(触れるだけで痛い)など神経障害性疼痛の要素が強い場合には、プレガバリン、ガバペンチン、ミロガバリンなどの薬が検討されます。 

また、皮膚症状が改善したあとも痛みが残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛といいます。帯状疱疹後神経痛は、日常生活や睡眠に大きな影響を及ぼすことがあるため、発疹が治ったあとも痛みが続く場合には、その段階に応じた治療を行います。帯状疱疹後神経痛に対して三環系抗うつ薬やCaチャネルα2δリガンド(プレガバリン、ガバペンチン、ミロガバリンなど)が推奨され、症状によってはトラマドールなどが検討されます。痛みが長引く場合や、内服治療だけでは十分な改善が得られない場合には、神経ブロックを治療の選択肢としてご提案しています。

 

目の周囲の帯状疱疹では眼科、耳周囲で顔面神経麻痺や難聴・めまいを伴う場合は耳鼻咽喉科との連携が重要です。特にHunt症候群では、早期治療が後遺症軽減のために重要とされています。必要に応じて当クリニックお隣の西新井みどりの耳鼻咽喉科と連携しながら診療を進めてまいります。

帯状疱疹の診断の注意点

帯状疱疹は、痛みだけ先に出ている段階では診断が難しいことがあります。片側の痛みがあるからといって、その時点だけで帯状疱疹と断定するのは難しく、筋肉痛、肋間神経痛、片頭痛、胆のう炎、狭心症、外傷など、ほかの病気との見分けが必要です。

また、単純ヘルペス、虫刺され、接触皮膚炎、毛包炎、異汗性湿疹、水疱症などが帯状疱疹に似ることがあります。特に皮疹が少ない場合や限局している場合は見分けに悩むことがあり、必要に応じて迅速検査やPCRを行います。 

注意したいのは、顔面の帯状疱疹です。額、まぶた、鼻の背や鼻先に皮疹がある場合は眼合併症のリスクが高く、耳の周りに出て顔の動かしにくさ、耳鳴り、難聴、めまいがある場合はHunt症候群の可能性があります。こうしたケースは皮膚科だけで完結せず、早めの専門科連携が大切です。 

さらに、皮疹が広範囲に及ぶ、複数の場所に出る、全身状態が悪い、免疫力が低下している場合は重症化に注意が必要です。これを播種性(汎発性)帯状疱疹といい、多臓器への広がりが問題になることがあります。

日常生活で気をつけたいこと

帯状疱疹が疑われるときは、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。痛みがある部位に赤みや水ぶくれが出てきたら、なるべく早く受診してください。治療開始が遅れるほど、痛みが長引く可能性があります。 

患部は清潔を保ち、こすったり無理にはがしたりしないようにします。衣服の摩擦で痛みが強くなることもあるため、刺激の少ない服装が楽な場合があります。十分な睡眠、栄養、休養も回復の助けになります。帯状疱疹後神経痛では、軽い刺激で強く痛むことがあるため、日常生活の工夫が重要です。 

また、帯状疱疹は「帯状疱疹そのもの」がうつるわけではありませんが、水ぶくれの中のウイルスが、水ぼうそうにかかったことがない人や水痘ワクチン未接種の人にうつると、その人は水ぼうそうを発症する可能性があります。水ぶくれが乾いてかさぶたになるまでは、患部を覆う、触れたあとは手を洗う、乳幼児・妊婦・免疫が弱い方との密な接触を避ける、といった配慮が勧められます。 

再発予防の観点では、帯状疱疹ワクチンも重要です。国の制度として、2025年度から65歳の方などを対象とした定期接種が始まっていますが、対象年齢や費用助成は年度や自治体によって異なるため、最新情報をご確認ください。ワクチンは帯状疱疹だけでなく、帯状疱疹後神経痛の予防にも役立つことが示されています。

当院の帯状疱疹の治療

当院では、帯状疱疹が疑われる患者さんに対して、できるだけ早い診断と早期治療を大切にしています。

皮疹の部位、広がり、痛みの強さ、発症からの日数、年齢や基礎疾患を確認し、必要に応じて抗ウイルス薬を用いた治療を行います。帯状疱疹は早く治療を始めることが重要な病気のため、「まだ軽いから様子を見よう」と迷うケースでも、早めの受診をおすすめしています。 

また、痛みに対しても丁寧に対応します。帯状疱疹の痛みは「皮膚が治れば終わり」とは限らず、急性期から強い痛みが続くことがあります。

痛みの性質に応じて鎮痛薬を使い分け、神経障害性疼痛が疑われる場合にはその治療も検討します。発疹が治ったあとも痛みが残る場合には、帯状疱疹後神経痛を見据えて診療を行います。 

痛みが長引く場合や、内服治療だけでは十分な改善が得られない場合には、神経ブロックを治療の選択肢としてご提案しています。

額・まぶた・鼻周囲の症状では眼科、耳周囲の症状や顔の動かしにくさ、めまい・難聴を伴う場合は耳鼻咽喉科など、必要に応じて適切な医療機関と連携します。

皮膚だけでなく、合併症まで見据えた診療を行うことが大切だと考えています。

このような場合は早めの受診をおすすめします

痛みのあとに、体の片側だけに赤みや水ぶくれが出てきたとき。特に発疹が出てから早い段階で治療を始めることが重要です。 

  • 顔に症状があるとき

額、まぶた、鼻、耳の周囲に発疹や痛みがある場合は要注意です。眼の合併症や顔面神経麻痺、難聴、めまいにつながることがあります。

  • 痛みが強いとき

眠れない、服が触れるだけで痛い、仕事や家事に支障があるなど、痛みが日常生活に影響している場合は早めの対応が必要です。

帯状疱疹後神経痛へ移行することもあります。 

  • 発疹が広い、繰り返し増える、全身状態が悪いとき

免疫力が落ちている方では重症化しやすく、播種性になることもあります。

発熱を伴う、複数の部位に広がる場合も早めにご相談ください。 

  • 皮膚が治ったのに痛みだけが続くとき。

帯状疱疹後神経痛の可能性があります。我慢せずに受診してください。 

よくある質問

Q.帯状疱疹はうつりますか?

A.帯状疱疹そのものが人から人へ「帯状疱疹として」うつるわけではありません。ただし、水ぶくれの中のウイルスが、水ぼうそうにかかったことがない人や水痘ワクチン未接種の人にうつると、その人は水ぼうそうを発症する可能性があります。水ぶくれがかさぶたになるまでは、患部を覆い、直接触れさせないようにすることが大切です。 

Q.帯状疱疹は何科を受診すればよいですか?

A.まずは皮膚科の受診が一般的です。皮膚症状と痛みをあわせて評価し、必要なら抗ウイルス薬を早期に開始します。目の周囲なら眼科、耳の周囲で顔面神経麻痺や難聴・めまいがあれば耳鼻咽喉科との連携が必要です。 

Q.発疹が出る前から痛いことはありますか?

A.あります。帯状疱疹では、皮疹の前にピリピリ・チクチクした痛みが出ることは珍しくありません。ただし、痛みだけでは診断が難しく、ほかの病気との区別が必要です。発疹が出てきたら早めに受診してください。 

Q.皮膚が治ったのに痛みが残るのはなぜですか?

A.ウイルスによって神経が傷つくと、皮膚症状が落ち着いたあとも痛みが続くことがあります。これが帯状疱疹後神経痛です。何か月も続くことがあり、衣服が触れるだけで痛いこともあります。 

Q.帯状疱疹は早く受診したほうがよいですか?

A.はい。抗ウイルス薬は発症早期ほど効果が期待しやすく、皮疹出現後72時間以内の開始が特に望ましいとされています。少なくとも発疹が出たら早めの受診が大切です。 

Q.お風呂に入っても大丈夫ですか?

A.全身状態が悪くなければ、一般には清潔を保つための軽い入浴やシャワーは可能です。ただし、患部を強くこすらないこと、痛みが強いときは無理をしないことが大切です。刺激がつらい場合はシャワー中心のほうが楽なことがあります。帯状疱疹後神経痛では軽い刺激でも痛みが増すことがあります。 

Q.ワクチンで予防できますか?

A.予防が期待できます。帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症予防だけでなく、帯状疱疹後神経痛の予防にも役立つことが示されています。公費助成や定期接種の対象は年度や自治体により異なるため、最新の制度は自治体や厚生労働省の案内をご確認ください。

まとめ

帯状疱疹は、早期の発見と早期に治療を始めることが大切な病気です。体の片側にピリピリした痛みや赤み、水ぶくれが出たら、帯状疱疹の可能性があります。特に顔や目、耳の周囲の症状、強い痛み、皮膚が治ったあとも続く痛みは、早めの対応が重要です。抗ウイルス薬による早期治療と、痛みに対する適切なケアが、つらい経過や帯状疱疹後神経痛の負担を減らす助けになります。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。

※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。

西新井みずの皮膚科クリニック

院長 水野 謙太

 

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