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円形脱毛症

円形脱毛症とは

円形脱毛症は、突然、円形から楕円形に髪の毛が抜けることの多い、後天性・非瘢痕性(傷あとを残しにくい)の脱毛症です。主に毛を作っている毛包を標的とする自己免疫の関与が考えられている病気で、軽いタイプでは自然に回復することもありますが、重症例では脱毛が広がり、頭全体や全身の毛に及ぶこともあります。 

円形脱毛症は「丸く抜ける脱毛症」という印象が強い病気ですが、実際にはいくつかのタイプがあります。1か所だけ抜ける単発型、複数みられる多発型、頭髪全体に及ぶ全頭型、頭髪に加えて眉毛・まつ毛・体毛まで広がる汎発型、生え際が帯状に抜ける蛇行型、境界がはっきりしないびまん型などがあり、見た目や経過は人によって大きく異なります。 

「髪が抜ける病気」というだけでなく、見た目の変化や再発への不安など、心理的な負担が大きくなりやすい点も大切です。治療は脱毛範囲だけでなく、進行の速さ、眉毛やまつ毛の症状、生活への影響も含めて考えていきます。

円形脱毛症の主な症状

もっとも多いのは、頭皮に円形・楕円形の脱毛斑が突然あらわれるタイプです。頭皮だけでなく、眉毛、まつ毛、ひげ、体毛に症状が出ることもあります。診察では、感嘆符毛、断裂毛、黒点などが手がかりになることがあります。 

また、一部の方では爪に小さなくぼみ(点状陥凹)がみられることがあります。経過は一定ではなく、自然に生えそろう方もいれば、再発を繰り返す方もおり、予測が難しい病気です。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症は、免疫の仕組みが毛包を攻撃してしまう自己免疫性疾患と考えられています。遺伝的な背景が関わることも示されていますが、家族に同じ病気の方がいないケースも少なくありません。 

なお、人にうつる病気ではありません。シャンプー、接触、タオルの共有などで周囲に広がることはありません。

円形脱毛症の検査および診断

診断は、まず頭皮や脱毛部位の状態を診察し、必要に応じてダーモスコピー(トリコスコピー)で毛穴や毛の状態を詳しく観察して行います。あわせて、経過、家族歴、爪の変化の有無なども確認します。ヘアプルテストが病勢の評価に役立つこともあります。 

多くは見た目と診察で診断できますが、似た脱毛症との区別が難しい場合には、血液検査頭皮生検を追加することがあります。

円形脱毛症の治療

円形脱毛症の治療は、年齢、脱毛範囲、進行の速さ、病型、眉毛・まつ毛の有無、生活への影響などを踏まえて選びます。軽症では、あえて治療を行わず経過をみることも選択肢です。 

脱毛範囲が限られている場合は、ステロイド外用や、成人ではステロイド局所注射が基本的な治療になります。日本皮膚科学会ガイドラインでは、単発型・多発型の成人に対する局所注射、単発型から融合傾向のない多発型に対する強いステロイド外用が推奨されています。 

脱毛範囲が広い場合や、症状が固定している重症例では、局所免疫療法が検討されます。さらに、急速に進行する重症例では、ステロイド内服やステロイドパルス療法が選択されることがありますが、再発や副作用への注意が必要です。 

近年は、広範囲で難治の円形脱毛症に対して、経口JAK阻害薬が新しい治療選択肢になっています。日本のガイドラインでは、専門的な診療体制があり、適応条件を満たし、十分な説明と共有意思決定が行える場合に限って勧めるとされています。本邦ではバリシチニブリトレシチニブが、重症かつ難治性の円形脱毛症に対して承認・保険適用があります。 

このほか、紫外線療法(PUVA、エキシマライト/レーザー、narrow-band UVB)も症例によって選択肢になります。特にエキシマライト/レーザーは、通常型の成人例を中心に検討される治療です。

円形脱毛症の診断の注意点

円形脱毛症にみえる脱毛でも、実際には別の病気であることがあります。トリコスコピーでみられる所見の中には、頭部白癬、トリコチロマニア、男性型脱毛症などでもみられるものがあり、所見だけで即断しないことが大切です。必要に応じて、瘢痕性脱毛症などとの鑑別のために追加検査を考えます。 

また、重症度は「何%抜けているか」だけでは決まりません。眉毛・まつ毛の脱毛、進行スピード、患者さんの心理的負担も含めて評価することが重要です。

日常生活で気をつけたいこと

脱毛部位が露出していると、紫外線、乾燥、寒暖差の影響を受けやすくなります。帽子、ウィッグ、メガネなどを上手に使い、頭皮や目まわりを保護することが大切です。見た目の変化がつらいときは、無理に一人で抱え込まず、心理的なサポートも含めて相談することが勧められます。

当院の円形脱毛症の治療

当院では、まず本当に円形脱毛症かどうかを丁寧に見極めたうえで、脱毛範囲、進行の速さ、病型、眉毛・まつ毛の症状、生活への影響をふまえて治療方針をご提案します。軽症例では外用治療を基本に、必要に応じて局所注射や内服治療を組み合わせ、過不足のない治療を心がけます。 

また当院では、308nmエキシマライト(ウシオ電機 セラビーム® UV308 mini LED)を用いた光線療法も、適応を見極めたうえでご提案可能です。特に通常型の円形脱毛症では、病状や年齢、通院ペースを考慮しながら治療選択肢の一つとして検討します。 

脱毛が広範囲に及ぶ場合には、JAK阻害薬を含めた専門的治療の適応を慎重に判断し、必要に応じて連携も含めてご相談いたします。

このような場合は早めの受診をおすすめします

  • 1か所だけでなく、短期間で脱毛が増えてきた
  • 眉毛やまつ毛にも症状が出てきた
  • 頭全体に広がる、または急速に進行している
  • 何度も再発を繰り返している
  • お子さんの脱毛で、ほかの脱毛症との見分けが必要かもしれない
  • 見た目の変化による不安が強く、日常生活に支障が出ている

よくある質問

Q.自然に治ることはありますか?

A. あります。軽症例では自然に回復することがあります。一方で、再発したり、広がったりすることもあり、経過は人によって異なります。 

Q.人にうつりますか?

A. うつりません。感染症ではなく、接触やタオルの共有で周囲に広がる病気ではありません。 

Q.ストレスだけが原因ですか?

A. 円形脱毛症は自己免疫が背景にあると考えられており、ストレスだけで説明できる病気ではありません。原因は一つではなく、体質や免疫の働きなどが複雑に関わると考えられています。 

Q.眉毛やまつ毛にも起こりますか?

A. はい。頭皮だけでなく、眉毛、まつ毛、ひげ、体毛に症状が出ることがあります。 

Q.治療しないで様子を見ることもありますか

A. あります。軽症で自然回復が期待できる場合や、患者さんの希望によっては、治療をせず経過観察を選ぶこともあります。 

Q.再発しますか?

A. 再発することがあります。円形脱毛症は経過の個人差が大きく、よくなった後に再び脱毛が出ることもあります。

まとめ

円形脱毛症は、突然起こることの多い脱毛症ですが、軽症なら自然に回復することもある一方、広がる例や再発を繰り返す例もあります。大切なのは、円形脱毛症かどうかをきちんと見極め、今の病状に合った治療を選ぶことです。急に増えてきた、範囲が広い、眉毛やまつ毛にも及んでいるといった場合は、早めに皮膚科へご相談ください。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。

西新井みずの皮膚科クリニック

院長 水野 謙太

 

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