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ケロイド

ケロイドとは

ケロイドは、傷が治ったあとにできる傷あとが、必要以上に赤く・硬く・盛り上がり、元の傷の範囲をこえて広がっていく状態です。
傷を治そうとする反応が必要以上に続いてしまい、皮膚の深い部分で炎症が長引くことで、コラーゲンが過剰に増えてできると考えられています。
一般的な傷あとと違って、時間がたつと自然に目立たなくなるとは限らず、
少しずつ大きくなったり、症状が続いたりすることがあります。 

手術あと、ピアス、にきび、やけど、予防接種、虫刺され、軽いけがなどをきっかけに生じることがあり、特に耳たぶ、胸、肩、上腕、あご周りなどにできやすいとされています。
見た目だけでなく、
かゆみ、痛み、つっぱり感を伴うこともあり、早めの評価が大切です。 

また、ケロイドはよく「盛り上がった傷あと」として一括りにされますが、実際には肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と区別して考えることが大切です。
ケロイドは元の傷の範囲をこえて広がりやすいのに対し、肥厚性瘢痕は通常、もとの傷の範囲の中にとどまります。
治療方針にも関わるため、自己判断ではなく診察で見極めることが重要です。

主な症状

ケロイドでは、次のような症状がみられます。

傷あとが赤い、または褐色っぽく目立つ硬く盛り上がるつるっとした見た目になるかゆみや痛みがある衣類や下着でこすれると違和感がある徐々に大きくなる/関節の近くではつっぱり感や動かしにくさにつながることがあります。
特に
かゆみ痛みは、患者さんのつらさに直結する重要な症状です。

原因

はっきりした単一の原因だけで起こるわけではなく、体質的ななりやすさに加えて、傷あとに加わる炎症や張力(引っ張られる力)が関係すると考えられています。
人種差や遺伝的要因が関わることも示されていますが、それだけで決まるものではなく、複数の要因が重なって発症します。 

きっかけとしては、手術、ピアス、にきび、やけど、外傷、虫刺され、毛の処理、注射などがあり、比較的軽い刺激のあとに生じることもあります。
特に炎症が長引くことは悪化要因になるため、にきびや感染を放置しないことも大切です。

検査および診断

診断は、まず見た目と経過から行います。
いつ頃から盛り上がってきたか、何がきっかけだったか、広がっているか、かゆみや痛みがあるか、過去にも同じような傷あとができたことがあるか、などを確認します。
国内ガイドラインでも、元の傷の範囲をこえて広がる瘢痕をケロイドと診断する考え方が示されています。 

一方で、すべての盛り上がった傷あとがケロイドとは限りません。
肥厚性瘢痕のほか、まれに他の皮膚腫瘍との見分けが必要になることがあり、診断に迷う場合は生検(組織検査)を検討します。

治療

ケロイド治療は、ひとつの方法だけで完結するとは限らず、状態に応じて治療を組み合わせることが大切です。
国内ガイドラインでは、局所治療、内服治療、必要に応じた手術や術後放射線治療などが整理されています。 

・ステロイド治療
ガイドラインでは、ステロイドの局所注射がケロイド治療で最も効果が期待できる方法のひとつとされています。貼付剤やテープ剤も症状改善に役立つことがあり、日本では成人のケロイド・肥厚性瘢痕治療で、強いステロイドのテープ剤が第一選択として位置づけられています。 

・内服治療
国内ガイドラインでは、トラニラスト(リザベン)内服は、ケロイドの増大抑制、症状改善、術後再発予防に推奨されています。
添付文書上も、ケロイド・肥厚性瘢痕が適応に含まれています。 

・シリコーンジェルシート、固定・圧迫療法
シリコーンジェルシートは、単独で根治を目指す治療というより、症状の軽減や再発予防を補助する方法として使われます。
耳たぶや耳介のケロイドでは、術後の圧迫・固定療法が再発予防に役立つ可能性があります。 

・レーザー治療
レーザーは、赤みなど見た目の改善に一定の効果が期待される一方、病変の厚みや状態によっては、ほかの治療との併用が必要です。
レーザーだけですべてのケロイドに対応できるわけではありません。 

・手術・術後放射線治療
厚みが強いもの、症状が強いもの、保存的治療だけでは難しいものでは、手術が選択肢になります。
ただし、手術だけで終わらせるのではなく、術後放射線治療などの後療法を前提に考えることが重要です。
国内ガイドラインでも、ケロイド切除後の放射線治療は再発率を下げるため推奨されています。

診断の注意点

患者さんが「ケロイドだと思っていた」ものが、実際には肥厚性瘢痕であることは少なくありません。
反対に、典型的ではない盛り上がりの中に、別の病気が隠れていることもあります。
特に元の傷の外まで広がっているかどうかは重要なポイントですが、それだけで完全に区別できないこともあるため、部位、経過、赤み、硬さ、症状などを総合的に判断します。 

また、ケロイドは「ただ見た目の問題」ではなく、かゆみ・痛み・つっぱり感が強いことがあり、生活の質に影響します。
見た目だけで我慢せず、症状がある場合は治療を考えてよい病気です。

日常生活で気をつけたいこと

ケロイドができやすい方は、傷あとをなるべく悪化させないことが大切です。
耳の軟骨部のピアスは避ける、ピアスの抜き差しを繰り返して炎症を起こさない、にきびを放置しない、傷ができたら清潔を保って保護する、強い摩擦や引っ張りを減らす、といったことが予防につながります。
国内ガイドラインでも、
耳介部のピアスを避けることや、ざ瘡に早期に適切な処置を行うことが予防につながるとされています。

当院の治療

当院では、まずその盛り上がった傷あとが本当にケロイドなのか、肥厚性瘢痕なのかを丁寧に見極めます。
そのうえで、部位、大きさ、硬さ、赤み、かゆみや痛みの有無、これまでの治療歴を確認し、治療方針をご提案します。 

治療は、ステロイド治療、テープ・貼付剤、シリコーン製剤、圧迫・固定、必要に応じたリザベン(トラニラスト)内服などを組み合わせて行います。
厚みが強いもの、症状が強いもの、再発を繰り返すもの、手術や術後放射線治療を含めた専門的判断が必要なものについては、適切な治療法をご説明し、必要に応じて専門医療機関と連携します。 

また当院では、ケロイドに対してボトックス(ボツリヌストキシン)注射自費診療で治療の選択肢として取り入れています。 
ボトックスは標準治療の中心というより、症例を選んで行う
補助的な選択肢ですが、報告では痛み・かゆみ・硬さ・赤みなどの改善に役立つ可能性が示されています。
一方で、効果には個人差があり、術後再発予防に関する根拠はまだ十分とはいえないため、状態をみながらご提案します。

このような場合は早めの受診をおすすめします

傷あとが少しずつ大きくなってきた、赤みや盛り上がりが強くなってきた、かゆみや痛みが続く、ピアス周囲が硬く厚くなってきた、関節の近くでつっぱる、何度も再発している、という場合は早めの受診をおすすめします。
特に、元の傷の範囲をこえて広がってきた場合は、ケロイドの可能性があります。

よくある質問

Q.ケロイドと肥厚性瘢痕は同じですか?
A. 同じではありません。ケロイドは元の傷の範囲をこえて広がりやすく、肥厚性瘢痕は通常その範囲内にとどまります。
見た目が似ていても、治療の考え方が変わることがあります。 

Q.ケロイドは自然に治りますか?
A. 自然に落ち着くこともありますが、ケロイドは肥厚性瘢痕よりも自然に改善しにくく、徐々に大きくなることがあります。
気になる盛り上がりが続く場合は、早めの相談をおすすめします。 

Q.手術をすれば完全に治りますか?
A. 手術が必要な場合はありますが、ケロイドは手術だけでは再発しやすいため、術後の放射線治療などを組み合わせて考えることが一般的です。 

Q.ピアスはあけても大丈夫ですか?
A. ケロイドができやすい方では、ピアスがきっかけになることがあります。
特に耳の軟骨部は避けた方がよいとされています。過去にピアス後の盛り上がりがあった方は、慎重に考えることをおすすめします。 

Q.治療後はどれくらい通院が必要ですか?
A. 国内ガイドラインでは、最低2年間の経過観察が必要とされています。
ケロイドは再発することがあるため、良くなってきたあとも定期的な確認が大切です。

まとめ

ケロイドは、傷あとが赤く、硬く、盛り上がり、元の傷の範囲をこえて広がることがある病気です。
見た目だけでなく、かゆみや痛みを伴うこともあり、早めの診断と治療が重要です。
治療は、ステロイド治療、テープ・貼付剤、シリコーン、圧迫、内服、必要に応じた手術や術後放射線などを組み合わせて行います。
傷あとが気になっている方、以前から何度も再発している方も、どうぞご相談ください。

※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。

院長 水野 謙太

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