しみ
しみとは
「しみ」とは、皮膚にメラニン色素が増えることで、茶色〜灰色っぽく見える色素斑の総称です。
一口に「しみ」といっても、実際にはいくつかの種類があり、原因・深さ・治療方法が異なります。
代表的なものには、以下のようなものがあります。
・老人性色素斑・日光黒子:紫外線や加齢の影響でできる、いわゆる一般的な「しみ」
・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM):頬やこめかみに左右対称に出やすい、やや青み・灰色みを帯びた深いしみ
・雀卵斑(そばかす):小さな茶色い斑点が鼻〜頬に多発するしみ
・炎症後色素沈着:にきび、湿疹、やけど、虫さされ、かぶれなどの後に残る茶色い跡
・肝斑:頬骨周辺や額、口周りなどに左右対称に広がる、ぼんやりした茶色いしみ
しみ治療で大切なのは、まず「しみの種類」を正しく見極めることです。
同じように見えるしみでも、レーザーが向いているもの、外用薬でじっくり治療するもの、刺激を避けながら経過を見るものなど、治療方針は大きく異なります。
主な症状
しみは、種類によって見た目や出やすい部位に特徴があります。
・老人性色素斑・日光黒子
紫外線を浴びやすい顔、手の甲、腕などにできやすい茶色いしみです。
境界が比較的はっきりしており、円形〜楕円形のことが多く、年齢とともに数が増えたり、色が濃くなったりすることがあります。
顔では、頬、こめかみ、額などに見られます。
表面が少し盛り上がってくると、脂漏性角化症、いわゆる「老人性いぼ」に近い状態になることもあります。
・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
頬、こめかみ、下まぶた周囲などに、左右対称に出ることが多いしみです。
茶色というより、やや灰色、青み、くすんだ色に見えることがあります。
通常のしみよりも色素が皮膚の深い部分、真皮に存在するため、外用薬だけでは改善しにくく、レーザー治療を複数回行うことがあります。
・雀卵斑(そばかす)
鼻から頬にかけて、小さな茶色い斑点が多数みられます。
幼少期から思春期に目立ち始めることが多く、紫外線で濃くなりやすい特徴があります。
遺伝的な要素が関係することもあり、色白の方に目立ちやすい傾向があります。
・炎症後色素沈着
にきび、湿疹、虫さされ、やけど、かぶれ、レーザー後の炎症などの後に、茶色い跡として残るものです。
「にきび跡の茶色いしみ」「虫さされの跡がなかなか消えない」といった形で相談されることが多いです。
炎症が落ち着けば時間とともに薄くなることもありますが、紫外線や摩擦、刺激が加わると長引くことがあります。
・肝斑
頬骨のあたり、額、口周りなどに、左右対称にぼんやりと広がる茶色いしみです。
境界がはっきりしないことが多く、30〜50代の女性に多く見られます。
紫外線、女性ホルモン、摩擦、ストレス、睡眠不足、過度なスキンケア刺激などが関係すると考えられています。
肝斑は刺激に敏感なしみであり、治療方法を誤ると濃くなることがあるため注意が必要です。
原因
しみの主な原因は、皮膚の中でメラニン色素が過剰に作られたり、排出されにくくなったりすることです。
主な原因・悪化因子には以下があります。
・紫外線
紫外線は、老人性色素斑、そばかす、肝斑、炎症後色素沈着など、多くのしみに関係します。
紫外線を浴びるとメラニンが増え、しみが濃くなったり、新しいしみができやすくなったりします。
・加齢
年齢とともに皮膚のターンオーバーがゆっくりになり、メラニンが排出されにくくなります。長年の紫外線ダメージが蓄積することで、老人性色素斑が目立ちやすくなります。
・炎症
にきび、湿疹、かぶれ、虫さされ、やけど、摩擦などで皮膚に炎症が起こると、その後に色素沈着が残ることがあります。
・摩擦・刺激
クレンジングや洗顔で強くこする、マッサージを頻繁に行う、マスクやタオルでこするなどの刺激は、肝斑や炎症後色素沈着を悪化させることがあります。
・ホルモンバランス
肝斑は、妊娠、出産、ピル内服、更年期前後など、女性ホルモンの変化と関連することがあります。
・体質・遺伝
そばかすやADMでは、体質的な要素が関係することがあります。
検査および診断
しみの診断では、まず視診により色、形、分布、左右差、境界、盛り上がりの有無などを確認します。
必要に応じて、以下のような診察を行います。
・ダーモスコピー検査
皮膚を拡大して観察する検査です。
しみの色素の分布や構造を確認し、老人性色素斑、脂漏性角化症、ほくろ、悪性腫瘍などとの鑑別に役立ちます。
・経過の確認
いつからあるのか、急に大きくなっていないか、色が濃くなっていないか、出血やかさぶたを繰り返していないかなどを確認します。
・悪性腫瘍との鑑別
しみのように見えても、まれに悪性黒色腫、基底細胞癌、日光角化症などの皮膚がん・前がん病変が隠れていることがあります。形がいびつ、色むらが強い、急に大きくなる、出血する、かさぶたを繰り返す場合は、慎重な診断が必要です。必要に応じて皮膚生検を行うこともあります。
しみ治療では、診断が非常に重要です。たとえば、老人性色素斑にはレーザー治療が向いていることがありますが、肝斑に強いレーザーを照射すると悪化することがあります。
そのため当院では、しみの種類を確認したうえで、レーザー治療、外用薬、スキンケア指導などを組み合わせて治療方針を提案します。
治療
しみの治療は、種類や深さ、肌質、生活習慣、治療後のダウンタイムの許容度によって異なります。
・レーザー治療
老人性色素斑やそばかす、ADMなどでは、レーザー治療が選択肢になります。特に、境界がはっきりした茶色いしみでは、レーザーによりメラニンを選択的に破壊する治療を検討します。
ただし、レーザー後には一時的な赤み、かさぶた、炎症後色素沈着、色素脱失などが起こることがあります。また、しみの種類によっては複数回の治療が必要です。
・外用薬
トレチノインやハイドロキノンなどの外用薬を使用することがあります。
トレチノインは、皮膚のターンオーバーを促し、メラニンの排出を助ける目的で使用します。
ハイドロキノンは、メラニンの生成を抑える目的で使用されます。
外用薬は、老人性色素斑、炎症後色素沈着、肝斑、くすみなどに対して、状態に応じて使用します。赤み、皮むけ、刺激感、かぶれが出ることがあるため、医師の指導のもとで使用することが大切です。
・紫外線対策
しみ治療では、紫外線対策が非常に重要です。
レーザーや外用薬で治療しても、紫外線を浴び続けると再発や悪化の原因になります。
日焼け止め、帽子、日傘、UVカットマスクなどを組み合わせ、季節を問わず対策を続けることが大切です。
・スキンケアの見直し
肝斑や炎症後色素沈着では、摩擦を減らすことが重要です。
クレンジングや洗顔でこすらない、スクラブや強いマッサージを避ける、保湿をしっかり行うなど、日々のケアも治療の一部です。
診断の注意点
しみ治療で最も大切なのは、「どのしみに、どの治療を行うか」です。
特に注意が必要なのは、以下のような場合です。
・肝斑を合併している場合
肝斑は、強い刺激で悪化することがあります。
老人性色素斑のように見えるしみの周囲に肝斑が隠れている場合、レーザー治療のタイミングや照射方法を慎重に判断する必要があります。
・ADMと肝斑が混在している場合
ADMは深いしみであり、レーザー治療が選択肢になります。
一方で、肝斑が混在していると、レーザーによる炎症で色素沈着が強く出ることがあります。そのため、まず肝斑を落ち着かせてからレーザーを検討する場合があります。
・悪性腫瘍との鑑別が必要な場合
「急に大きくなった」「色がまだら」「境界が不整」「出血する」「かさぶたを繰り返す」といったしみは、単なる色素斑ではない可能性があります。
このような場合は、美容目的の治療よりも、まず皮膚科的な診断を優先します。
・治療後の色素沈着
日本人の肌では、レーザーや炎症の後に一時的な炎症後色素沈着が起こることがあります。
治療後に一時的に濃く見えることがありますが、多くは時間とともに薄くなっていきます。
ただし、紫外線対策や外用薬の使用、こすらないケアが不十分だと長引くことがあります。
日常生活で気をつけたいこと
しみを予防・改善するためには、治療だけでなく日常生活でのケアも大切です。
・紫外線対策を毎日行う
晴れの日だけでなく、曇りの日や冬でも紫外線は降り注いでいます。
日焼け止めは毎朝使用し、屋外で過ごす時間が長い日は塗り直しも行いましょう。
・こすらないスキンケア
クレンジング、洗顔、タオルで拭くときに強くこする習慣は、肝斑や色素沈着を悪化させることがあります。泡でやさしく洗い、タオルは押さえるように使いましょう。
・保湿をしっかり行う
乾燥している肌は刺激を受けやすく、炎症が起こりやすくなります。保湿を続けることで、皮膚のバリア機能を整えます。
・にきびや湿疹を放置しない
炎症が長引くほど、色素沈着が残りやすくなります。
にきび、湿疹、かぶれ、虫さされなどは早めに治療しましょう。
・自己判断で強い美白剤を使いすぎない
市販品や個人輸入の外用薬を自己判断で使用すると、かぶれや赤み、色素沈着の悪化につながることがあります。特にトレチノインやハイドロキノンは、医師の指導のもとで使用することをおすすめします。
当院のしみの治療
当院では、しみの種類を診察で確認したうえで、患者さんの肌質やご希望に合わせて治療方針をご提案します。
・Qスイッチルビーレーザー
当院では、Qスイッチルビーレーザーとして、Q-SW ルビーレーザー MODEL IB103 を導入しています。
Qスイッチルビーレーザーは、メラニン色素に反応しやすいレーザーで、しみや一部のあざに対して使用されます。
境界が比較的はっきりした老人性色素斑、そばかす、ADMなどで治療を検討します。
治療後は、赤み、ひりつき、かさぶた、一時的な色素沈着などが起こることがあります。
照射後の経過やケアについては、診察時に詳しくご説明します。
・トレチノイン外用
トレチノインは、皮膚のターンオーバーを促し、メラニンの排出を助ける目的で使用する外用薬です。
使用開始後に、赤み、皮むけ、乾燥、刺激感が出ることがあります。
反応を見ながら使用量や頻度を調整します。
・ハイドロキノン外用
ハイドロキノンは、メラニンの生成を抑える目的で使用する外用薬です。
しみや色素沈着、肝斑などに対して、状態に応じて使用します。
かぶれや刺激感が出ることがあるため、医師の指導のもとで使用します。
・レーザーと外用薬の組み合わせ
しみの種類によっては、レーザー治療と外用薬を組み合わせることで、治療後の色素沈着予防や再発予防を目指します。
たとえば、老人性色素斑にレーザー治療を行い、治療後に紫外線対策や外用薬を併用することがあります。
肝斑がある場合は、まず外用薬やスキンケア、紫外線対策で肌状態を整えたうえで、治療方針を検討します。
・皮膚科専門クリニックとしての診断
当院では、美容目的のしみ治療だけでなく、皮膚科診療として悪性腫瘍や他の皮膚疾患との鑑別も大切にしています。
「しみだと思っていたが、実は別の病気だった」ということもあります。
気になるしみがある方は、まずはお気軽にご相談ください。
このような場合は早めの受診をおすすめします
以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。
- 急に大きくなってきたしみがある
- 色が黒い、青い、赤いなど、色むらがある
- 形がいびつで左右非対称
- 境界がぼやけている、またはギザギザしている
- 出血する、かさぶたを繰り返す
- かゆみや痛みがある
- 以前より濃くなってきた
- 市販薬や美容施術で悪化した
- 肝斑か普通のしみか分からない
- レーザー治療が自分に合うか相談したい
- にきび跡や虫さされ跡の色素沈着が長引いている
しみ治療は、自己判断で進めるよりも、まず診断を受けることが大切です。
よくある質問
Q.しみは1回のレーザーで取れますか?
A.老人性色素斑など、種類によっては1回のレーザーで目立ちにくくなることがあります。
ただし、しみの深さ、濃さ、肌質、部位によって効果には個人差があります。
ADMのように深いしみでは、複数回の治療が必要になることがあります。
Q.レーザー治療後はかさぶたになりますか?
A.照射した部位は、赤みやひりつきが出た後、薄いかさぶたのようになることがあります。
無理にはがすと色素沈着や跡の原因になるため、自然にはがれるまで触らないようにしましょう。
Q.レーザー後にしみが濃くなることはありますか?
A.レーザー後に一時的な炎症後色素沈着が起こり、治療前より濃く見えることがあります。
多くは時間とともに薄くなりますが、紫外線対策や外用薬によるケアが重要です。
Q.肝斑にもレーザーはできますか?
A.肝斑は刺激で悪化することがあるため、強いレーザー治療は慎重に判断します。
まずは紫外線対策、摩擦を避けるスキンケア、外用薬などを中心に治療を行うことがあります。
Q.トレチノインやハイドロキノンは誰でも使えますか?
A.肌質や妊娠・授乳の有無、かぶれやすさなどによって使用できない場合があります。
赤み、皮むけ、刺激感、かぶれが出ることもあるため、医師の診察のうえで使用します。
Q.そばかすにもレーザーは効果がありますか?
A.そばかすはレーザー治療の対象になることがあります。
ただし、体質や紫外線の影響で再発することもあるため、治療後も紫外線対策が重要です。
Q. ADMとは何ですか?
A. ADMは、後天性真皮メラノサイトーシスの略称です。
頬やこめかみなどに左右対称に出やすい、やや灰色〜青みを帯びた深いしみです。
通常の表在性のしみよりも深い部分に色素があるため、外用薬だけでは改善しにくく、レーザー治療を複数回行うことがあります。
Q.にきび跡の茶色いしみも治療できますか?
A.にきび後の茶色い跡は、炎症後色素沈着のことがあります。
時間とともに薄くなることもありますが、長引く場合には外用薬やスキンケア、紫外線対策を組み合わせて治療します。
Q.しみ治療は保険適用ですか?
A.一般的な美容目的のしみ治療は自費診療となることが多いです。
一方で、あざや一部の色素性疾患では、診断によって保険適用となる場合があります。
実際の適用については、診察時に状態を確認したうえでご説明します。
まとめ
しみには、老人性色素斑、ADM、そばかす、炎症後色素沈着、肝斑など、さまざまな種類があります。
見た目が似ていても、原因や深さ、適した治療方法は異なります。
特に肝斑は刺激で悪化することがあり、レーザー治療を行う場合にも慎重な判断が必要です。
また、しみのように見えても、まれに皮膚がんや前がん病変が隠れていることがあります。
当院では、皮膚科専門クリニックとして、しみの種類を丁寧に診断し、Qスイッチルビーレーザー、トレチノイン・ハイドロキノン外用、紫外線対策やスキンケア指導を組み合わせて治療を行います。
足立区・西新井でしみ、そばかす、肝斑、にきび跡の色素沈着が気になる方は、お気軽にご相談ください。
※本記事は、当院院長が医学的知見と日常診療をもとにまとめています。
院長 水野謙太
